麻薬の廃棄について
麻薬の廃棄は2つに分けられます。
調剤済み麻薬の廃棄と、それ以外の廃棄です。
法律によって、下記のように廃棄するように定められています。
(廃棄)
第二十九条
麻薬を廃棄しようとする者は、麻薬の品名及び数量並びに廃棄の方法について都道府県知事に届け出て、当該職員の立会いの下に行わなければならない。ただし、麻薬小売業者又は麻薬診療施設の開設者が、厚生労働省令で定めるところにより、麻薬処方せんにより調剤された麻薬を廃棄する場合は、この限りでない。第三十五条
2 麻薬小売業者又は麻薬診療施設の開設者は、第二十九条ただし書の規定により、麻薬処方せんにより調剤された麻薬を廃棄したときは、三十日以内に、その麻薬の品名及び数量その他厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
抜粋:麻薬及び向精神薬取締法
調剤済み麻薬を廃棄した場合には、調剤済麻薬廃棄届を30日以内に届けなくてはいけません。
都道府県知事に提出ですが、おおよそ各地の保健所が受付機関となっていると思うので、確認の上提出してください。
ひな形も、各地保健所のホームページに掲載されていることが多いです。
期限切れなどにより、調剤済みではない麻薬を廃棄しようとするとき、これは職員立ち合いの上廃棄となります。
今回、調剤済みでない麻薬の廃棄を行ったので、その過程を記しておこうと思います。
期限切れ麻薬廃棄の過程
麻薬廃棄届の提出
まず、麻薬廃棄届を作成します。
麻薬廃棄届のフォーマットは、各保健所等のホームページに掲載されているので、確認ください。
おおよそ下記のような項目があります。
項目 | 記載事項 |
免許番号 | 麻薬小売業者免許証記載の免許番号を記入 |
免許年月日 | 免許の有効期間開始日を記入(交付日ではない) |
免許の種類 | 免許証の種類、薬局なら【麻薬小売業者免許】と記入 |
氏名 | 免許記載の氏名を記入 |
麻薬業務所 | 所在地及び名称について、免許記載の所在地と名称を記入 |
廃棄しようとする麻薬 | 正確な品目名(添付文書記載のものがよい)とその数を記入 |
廃棄の年月日 | ここは空欄でよい。立会人の調整が必要なので。 |
廃棄の場所 | 【○○病院薬剤部調剤室】とか【○○薬局調剤室】とか具体的に記入 |
廃棄の方法 | 【注意(市区町村保健所によって記入方法に差があるので、事前に保健所確認したほうがよさそう)】私は、「錠剤・散剤・坐剤は粉砕・溶解の上、流しに廃棄。パッチ剤については、接着部を合わせ、はさみで裁断後廃棄」と記載した。 |
廃棄の理由 | 廃棄使用とする理由を記入。「期限切れのため」「混合計量ミスのため」など |
住所・氏名 | 開設者住所・氏名を記入。法人なら主たる事務所の所在地と代表者氏名を記入。 |
という感じで、麻薬廃棄届を記入し、保健所に提出します。
麻薬廃棄日の通知
後日、職員が訪問する日が保健所から電話で通知されました。
廃棄届提出時は、2か月くらい後になるかもとのことでしたが、2週間後くらいに連絡がきました。
これは、場所によりけりだと思います。
電話があってから、3日後くらいの日にお昼ぐらいに来るとのこと。
薬局側の麻薬管理に不備があるとつっこまれるかもしれないと考え、下記の点を改めて確認しました。
- 麻薬金庫の場所は届出と一緒か。
- 麻薬免許は掲示できているか。
- 麻薬帳簿は正しく記入できているか。
- 麻薬帳簿記載の在庫量と現物量は一緒か。
普通に業務していればできてて、当たり前のことですが、念のため確認しておきました。
場所によっては、麻薬管理以外についても、突っ込まれるとのことなので、掲示物など、全体的になって見直しておいたほうが良いです。
職員来局
通知された時間帯に職員の方、2名が来ました。
挨拶もそこそこに、早速始めましょうとのことで、廃棄作業に着手!
前も後ろも予定がガッツリ入ってるみたいで、急いでいる感じです。
実際の廃棄作業は、座薬溶かすための洗面器とお湯と中性洗剤を用意したくらいで、その後は職員の方々が手際よくやってくれて、実際の廃棄には携わりませんでした。
流れはこんなかんじです。
座薬
- 熱湯を洗面器にくんで、座薬を投入
- 5分程度放置した後に混ぜると、溶けてくる
- 中性洗剤を適量加えて乳化させ、流し台に廃棄
錠剤
- ミキサーで粉砕(職員の方がミキサー持参でした)
- お湯に溶解させる
- 流し台に廃棄
カプセル
- 熱湯に入れ、5分放置すると、カプセルが溶けてくる
- 混ぜて、完全に溶かす
- 流し台に廃棄
貼付剤
- 不要な紙に、貼付面をはりつける
- はさみで切り刻む
- 袋に入れて職員の方がもって帰りました
実際の廃棄作業を1人の方がすすめる傍ら、麻薬管理簿に廃棄の旨の記載をもう1人が行ってました。
20分~30分くらいでしたでしょうか。
すべての廃棄作業がおわり、特に帳簿や免許証を確認するわけではなく、忙しそうに帰っていかれました。
おそらく、そのときの混雑状況や地域によって、確認が入る可能性もあるという感じですね。
まとめ
期限切れ麻薬の廃棄は、職員の管理下の元で行われます。
最初は、麻薬廃棄届けを保健所に提出することからスタートします。
麻薬管理簿は必ず確認されるので、必ず不備がないか確認しておきましょう。