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第一三共エスファの全株式を、第一三共がクオールHDに250億円で譲渡

医療業界的にビックニュースが舞い込んで来ました。
第一三共株式会社が100%子会社である第一三共エスファ株式会社の株式を、クオールホールディングス株式会社に250億円で売却すると発表しました。
段階的に株式譲渡を行い、2023年10月1日に30%分、2024年4月1日に21%分、残りの49%の株式譲渡実行日については、別途協議にて決定とのこと。

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、本日開催の取締役会において、当社の連結子会社である第一三共エスファ株式会社(本社:東京都中央区、以下「DSEP」)の保有株式の全て
をクオールホールディングス株式会社(本社:東京都港区、以下「クオール」)に譲渡することを決議し、同日、クオールと株式譲渡契約を締結しましたので、お知らせいたします。
なお、DSEP 株式譲渡のスケジュールについては、当社保有株式の 51%を 2024 年 4 月までに譲渡し、将来的に 100%をクオールへ譲渡する予定です。

引用:第一三共エスファの株式譲渡(連結子会社の異動)に関するお知らせ

第一三共エスファ株式会社とは

第一三共エスファ株式会社とは、2010年4月1日に設立された会社で、第一三共株式会社の100%子会社です。
第一三共などが保有していた先発品のAG(オーソライズド・ジェネリック)を主に製造販売している会社です。「DSEP」の名称がつけられています。

製造販売している主なAG品としては、下記があります。
クラビット(レボフロキサシン)
ミカルディス(テルミサルタン)
ミカム口(テルミサルタン/アムロジピン)
ミコンビ(テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド)
オルメテック(オルメサルタン)
クレストール(ロスバスタチン)
イレッサ(ゲフィチニブ)
ユリーフ(シロドシン)
カソデックス(ビカルタミド)
アリミデックス(アナストロゾール)
ノルバデックス(タモキシフェン)
メマリー(メマンチン塩酸塩)
ゼチーア(エゼチミブ)
ベルケイド(ボルテゾミブ)
アーチスト(カルベジロール)
サンリズム(ピルシカイニド塩酸塩)
ダイアート(アゾセミド)
フェブリク(フェブキソスタット)

第一三共エスファ株式会社の財政状態及び経営成績

引用抜粋:第一三共エスファの株式譲渡(連結子会社の異動)に関するお知らせ

2023年3月期の純資産189億8200万円、当期純利益89億3400万円となってます。
この成績の会社が、買収額250億円ってとても安すぎる気がします。。。なにか、裏の事情があったのではないかと勘ぐってしまいますね。

クオールホールディングス株式会社とは

クオールホールディングス株式会社とは、1992年10月13日に設立された調剤薬局の会社です。
現在、調剤薬局の売上高ランキングでは3位の会社で、店舗数は897店舗(2023年5月1日現在)となっています。
引用:クオールグループ店舗MAP

クオールホールディングス株式会社の財政状態及び経営成績


引用:クオールホールディングス株式会社2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 

2023年3月期で、売上高1700億3600万円、経常利益100億9800万円。純資産488億5600万円となっています。
第一三共エスファを買収できる体力は十分にあるといったところでしょうか。

クオールホールディングス株式会社の親会社

2023年3月31日現在 株式会社メディパルホールディングス(株式会社メディセオの親会社)が20.11%で筆頭株主となっています。

公表されている本買収の目的

今般の株式取得は、DSEPと当社グループの情報やノウハウを共有することで付加価値の高い医薬品の開発や、AGを中心とした顧客ニーズに応える製品を生み出すことにより、医療貢献と事業発展につなげることを目的としております。また、効率的で信頼性の高い事業運営により、安心とともに国民の健康に貢献できる医薬品を提供できると考えております。
当社グループは、今後両社事業の融合による新たなビジネスの検討を進め、医薬品の開発力や安定供給等の強化を図ってまいります。また、医薬品製造販売事業を含む医療関連事業の収益性拡大に引き続き取り組み、中核事業である保険薬局事業とともに、グループ総力を挙げた総合的な医療サービスを提供する企業として発展し社会に貢献してまいります。

引用:第一三共エスファ株式会社の株式取得(段階取得による子会社化)及び業績予想の修正に関するお知らせ(クオールホールディングス株式会社)

クオールホールディングス株式会社が公開したIRによれば、本買収の目的は、「付加価値の高い医薬品の開発」「顧客ニーズに応える製品の創出」「医療貢献と事業発展」としています。

DSEP はオーソライズドジェネリック(AG)製品を強みとして急速に業績を拡大してきました。一方、クオールは、保険薬局事業と医療関連事業の二つの事業で構成されており、それぞれの領域において、医療や健康を支える事業に取り組んでいます。
このたび、両社の事業が融合することで発揮されるシナジーにより、AG を中心とする DSEP ジェネリック事業の拡充に向けた開発力や安定供給力などを強化し、また、新規事業を検討することで、これまで以上に患者さんや医療関係者などステークホルダーの皆さまからのご期待に応えていくことが最適との結論に至りました。

引用:第一三共エスファの株式譲渡(連結子会社の異動)に関するお知らせ

第一三共株式会社側が公開したIRによれば、「開発力や安定供給力などを強化」「新規事業を検討」としています。

筆者が思うクオールホールディングス株式会社側の目的

  1. 昨今、後発品が思うように薬局に入って来ないので、優先的にグループ会社へ後発品を回す目的
  2. (クオールホールディングスの筆頭会社がメディパルホールディングスであり、メディパルは最近後発医薬品メーカー日医工を手中に収めたことから)後発医薬品製造業界の最適化を進め、コストカットをする目的。

メディパルHDが医療業界の薬製造・物流を抑え、やりたいようにやっていく構想の一端な気がします。

筆者が思う第一三共株式会社側の目的

  1. 後発医薬品市場から撤退し、全てのリソースを新規薬開発に費やす目的(というか、そういう姿勢をアピールする目的。

第一三共側のメリットが、正直わからないんですよね。お金が喫緊で必要な財務状況でもなさそうですし、あんな安値で売り捌く理由が見当たらないといったところ。

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