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【赤字でヤバイ】おもてなし薬局・セルフケア薬局(GOOD AID)決算考察

零売事業(処方箋なしで医療用医薬品を販売すること)と調剤事業を展開しているGOOD AID株式会社ですが、官報に広告掲載された第7期決算報告(令和4年9月30日現在)によれば、前期と比べて著しい業績悪化で赤字転落となっていました。

倒産の危険性を示す一つの基準である流動比率(流動資産÷流動負債×100)が、82.4%となっており、100%を切ると、1年以内に返済義務のある負債の方が、1年以内に現金・費用化する資産よりも、多くなっている状態であるので、かなり危険な水準にあることが予想されます。
また、自己資本比率もマイナスの状況で、債務超過となっており、どうしてこんな状況に陥ってしまったのか、調査して、考察して行きたいと思います。

目次

GOOD AID株式会社とは

GOOD AID株式会社は、2016年3月、外資系製薬会社勤務を経た『服部 雄太』さんによって立ち上げられた会社です。本社は愛知県名古屋市

創業当初は零売事業はあまり行っておらず、調剤薬局、訪問看護、EC事業を展開していた模様です。
2020年3月1日にSD C株式会社(セルフケア薬局の運営会社)を買収してから、零売事業に力を入れはじめたことが伺えます。

記事執筆時点(2023年6月13日)のホームページに公開してある店舗数は下記の通りでした。
保険調剤薬局 26店舗
零売薬局専門 11店舗

零売薬局中心の会社だと思ってたのですが、保険調剤薬局の方が店舗数が多く驚きました。
保険調剤薬局のほうは、M&Aを主軸で拡大を、零売薬局専門のほうは、自社で新規に立ち上げで拡大を図っていたようです。

決算の推移

決算公告を元に、第4期~第7期の推移を表にしました。

やはり、特筆すべきは、当期純利益が第7期で著しく悪くなっていることです。

第4期第5期第6期第7期
 (うち当期純利益)7,610千円-83,330千円51,046千円-1,311,886千円

第6期(令和3年9月30日)が5,100万円程度の黒字だったのにも関わらず、第7期(令和4年9月30日)では、13億1,000万円近くの赤字となっています。
30数店舗の店舗しかないのに、これだけの圧倒的赤字を叩き出せるのは、正直なところ、理解に苦しむところです。出店計画、M&A計画が相当ずさんだったのではないかと推察できます。


以下、第4期~第7期の決算について、各期の官報掲載決算広告になります。

第4期決算(令和元年9月30日)

第4期決算(令和元年9月30日)(単位:千円)

資産の部流動資産124,471
固定資産75,519
繰延資産2,264
資産合計202,255
負債及び純資産の部流動負債45,547
固定負債148,321
負債合計193,868
株主資本8,386
 資本金1,000
 資本剰余金
 利益剰余金7,386
 (うち当期純利益)7,610
純資産合計8,386
負債・純資産合計202,255
第5期決算(令和2年9月30日)

第5期決算(令和2年9月30日)(単位:千円)

資産の部流動資産341,670
固定資産414,946
繰延資産
資産合計756,617
負債及び純資産の部流動負債156,950
固定負債480,820
負債合計637,770
株主資本118,846
 資本金97,895
 資本剰余金96,895
 利益剰余金-75,943
 (うち当期純利益)-83,330
純資産合計118,846
負債・純資産合計756,617
第6期決算(令和3年9月30日)

第6期決算(令和3年9月30日)(単位:千円)

資産の部流動資産614,875
固定資産967,829
繰延資産
資産合計1,582,705
負債及び純資産の部流動負債448,576
固定負債759,235
負債合計1,207,811
株主資本374,893
 資本金100,000
 資本剰余金299,790
 利益剰余金-24,896
 (うち当期純利益)51,046
純資産合計374,893
負債・純資産合計1,582,705
第7期決算(令和4年9月30日)

第7期決算(令和4年9月30日)(単位:千円)

資産の部流動資産680,039
固定資産751,244
繰延資産
資産合計1,431,283
負債及び純資産の部流動負債825,640
固定負債1,210,170
負債合計2,035,810
株主資本-604,527
 資本金100,000
 資本剰余金636,499
 利益剰余金-1,341,026
 (うち当期純利益)-1,311,886
純資産合計-604,527
負債・純資産合計1,431,283

この数年で何が起きてしまったのか

あくまで公開されている情報を元に、一般的な市場状況等を鑑みた際の推測であり、この内容が事実たる保証はありません。予めご承知おきください。

M&Aによる薬局買収がうまくいかなかった?

ニュースリリースなどを確認したところ、ここ最近、MAによる調剤薬局の買収を推し進めていた形跡があり、そこで取得した株式について、著しい実質価額の低下が見られたため、減損処理をしたのやもしれません。固定資産が第6期967,829千円から第7期751,244千円へと、2億近く減じたことから推察されます。
(非上場株式の減損処理なんて、そうめったなことじゃないとやらない気がするのですが、多くの出資者がいるので、誰かしらのコベナンツ条項(債務者側の義務や制限などの特約条項)により、そのあたりをしっかりやる約束になってるのかもしれません)

調剤薬局(処方せんによる調剤が主の薬局)において、M&Aがうまくいく王道の方法は、人件費を買収時から減らして利益を増加させ、早めの回収を図る方法です。
この感じから察するに、株式譲渡契約に『人員は買収後◯年はそのままの体制にする。』といった条項をつけられていた可能性が高いです。そのため、業務効率化がなされず、赤字垂れ流しのような店が多かったのではないでしょうか。

新店の計画下振れ?

薬局の出店年月日を調査してみたところ、出店計画が無理めなスケジュールなのではないか?と思いました。
セルフケア薬局(零売専門)の11店舗のうち、2022年(令和4年)に出店したと思わしき店舗が8店舗もあったからです。

その出店計画が残念で、第7期(2022年9月30日)決算の時点でも影響が表面化するレベルだったのではないでしょうか。(となると第8期はどういう着地になってしまうんでしょうかね。。。)

おそらくプロモーション戦略として、セルフケア薬局は人気な商業施設に出店することで認知を獲得し、利用してもらうという算段かと思うのですが、どう考えても賃料が高いテナントばかりだなと感じます。
賃料をはじめとする固定費が、利益獲得に対して、だいぶ足かせになっているのではないでしょうか。

セルフケア薬局(零売専門)は、インバウンド顧客も対象にしていたと思うので、2022年10月のインバウンド再開前に店舗を増やし、インバウンド需要を取り込みたい意図があったのかもしれません。
現在、インバウンド顧客も増えてきているので、しっかり顧客を掴んでいたら、もしかすると奇跡の復活も見える?可能性もあるかなと思います。(だいぶ希望的な観測ですけども)

今後どうなる?

流動比率が100%を切っていることから、速やかに現金が必要になることは間違いありません。
この決算状況だと、更なる出資を期待することは難しいと言えます。一方で融資もここまで負債があると期待できないので、短期借入→長期借入の借り換えを実行して、月々の返済金額を減らすことが急がれます。
また、不採算店舗の閉鎖ないし売却も速やかに実行し、出血を止める必要があるかと思います。

ただ、正直なところ、小手先なことをやっても資金繰りが間に合わない気もするので、いっそ会社全体を売りに出して、救ってくれる会社を見つけてもらうほうが、会社の存続という意味では、一番近道の可能性も否めません。

参考資料

GOOD AID株式会社 ホームページ
セルフケア薬局 ホームページ
PR TIMES
官報
GOOD AID株式会社 登記簿謄本

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