イオン交換樹脂とは、高分子化合物であり、その構造中のイオンを、溶液中の同種のイオンと交換する性質を持つ物質です。
陽イオン交換樹脂
陰イオンが高分子化合物側に固定してあり、陽イオンを交換する樹脂です。
ナトリウムイオン、カルシウムイオンといった陽イオンを交換することができます。
強酸性陽イオン交換樹脂には、スルホン酸基などが交換基として用いられます。塩基はもちろんのこと、中性塩（塩化ナトリウムなど）も交換することができます。
弱酸性陽イオン交換樹脂には、カルボン酸基などが交換基として用いられますが、陽イオンを交換することはできるものの、pHが低い環境化ではプロトンを乖離することができないので、陽イオンを交換する能力としては弱いです。
陰イオン交換樹脂
陽イオンが高分子化合物側に固定してあり、陰イオンを交換する樹脂です。塩化物イオン、硫酸イオンなどの陰イオンを交換することができます。
強塩基性陰イオン交換樹脂には、4級アンモニウムイオンが交換基として用いられます。アルカリ性環境化であっても水酸化物イオンを乖離することができるので、イオン交換能力を発揮することができます。
弱塩基性陰イオン交換樹脂には、1~3級アンモニウムイオンが交換基として用いられます。中性塩の陰イオンを交換することはできません。
イオン交換樹脂の選択性
価数の大きいイオン・同族であれば原子番号が大きいイオンのほうが、吸着しやすい。
水中におけるイオンの大きさを示す、イオン水和半径が小さいほど吸着しやすいことに由来する。
イオン交換樹脂の用途
イオン交換樹脂は、水処理、薬品製造、バイオテクノロジーなど、多岐にわたる分野で使用されます。
特に、水軟化や脱塩処理において、不要なイオンを取り除く目的で利用されます。
